前回の「曜日と時間帯の売上パターン」に続き、今回は2つのテーマを検証します。

  1. 月によって売上は変わるのか
  2. 「雨の日はタクシーが儲かる」は本当か

データは前回と同じ239乗務(2024年6月〜2026年2月)。天気データは気象庁の東京の日別降水量を使いました。


月別の平均売上

月別平均売上グラフ

平均売上乗務数
2024年6月67,448円12
2024年7月81,125円13
2024年8月87,997円10
2024年9月80,512円12
2024年10月74,099円13
2024年11月80,833円10
2024年12月77,231円12
2025年1月80,410円11
2025年2月76,708円10
2025年3月68,058円13
2025年4月80,912円12
2025年5月88,485円13
2025年6月80,352円11
2025年7月93,762円12
2025年8月89,227円11
2025年9月87,565円12
2025年10月78,336円11
2025年11月78,826円12
2025年12月81,964円12
2026年1月84,396円10
2026年2月85,884円5

全期間平均は約81,000円。最高は2025年7月の93,762円、最低は2024年6月の67,448円でした。


見えてきたパターン

夏(7〜8月)と秋(9月)は強い

2024年・2025年ともに7〜8月が高水準で、2025年9月も87,565円と安定しています。夏は需要が読みやすく、観光客やイベント需要も重なりやすい時期です。

6月と3月が2年連続でへこむ

  • 2024年6月:67,448円
  • 2025年3月:68,058円

6月は梅雨で動きが鈍くなるイメージがありますが、翌2025年6月は80,000円台まで回復しているため、梅雨だけが原因とは言えません。2024年6月はデータ収集の開始月でもあり、データが完全でない可能性もあります。

3月については「年度末の特需があるのでは」という体感がありましたが、数字はむしろ低め。年度末に動くのは法人需要が多く、個人タクシーには恩恵が少ないのかもしれません。


「雨の日はタクシーが儲かる」は本当か

業界の「常識」として語られがちなこの話、実際のデータで検証しました。

雨の定義:当日の降水量 1mm以上

雨の日 vs 晴れの日 比較グラフ

天気乗務数平均売上
晴れ・曇り(0mm)183乗務80,335円
雨の日(1mm以上)56乗務82,744円

差は +2,409円。雨の日の方がわずかに高い結果です。

ただし…


相関係数は0.032。ほぼ無相関

降水量と売上の散布図

散布図を見ると、点はバラバラに散らばっており、雨の量が増えるほど売上が上がるという傾向は見られません。回帰直線はほぼ水平、**相関係数は0.032(ほぼ0)**です。

「雨の日は儲かる」は、あくまで体感レベルの話。少なくとも私のデータでは、雨が売上を有意に押し上げるとは言えませんでした。


なぜ体感と違うのか

考えられる理由を整理すると:

1. 雨の日は需要も増えるが、待機時間も伸びる

雨だと客単価は上がりそうですが、渋滞で回転率が下がります。「1件の単価は高いが、乗務中の件数は少ない」というトレードオフが打ち消し合っている可能性があります。

2. GOアプリで需要は均等化されている

今はGOアプリが需要を効率よく捌くため、晴れでも雨でも「乗りたい人が乗れる状態」が維持されます。昔ながらの流しのイメージで「雨=儲かる」を語るのは、時代遅れになってきているのかもしれません。

3. サンプル数の問題

56乗務の雨の日データは、統計的有意差を出すには少し少ない。今後データが積み上がるにつれて傾向がより明確になるかもしれません。


月によってまったく違う「雨の効果」

全体で見るとほぼ無相関でも、月ごとに分解すると面白い差が出てきます。

月別・雨の日 vs 晴れの日の平均売上比較

棒グラフのうち▲マークが雨の日が上回った月です。特に目立つのが:

  • 2025年5月:雨の日が晴れより +18,787円(雨6乗務)
  • 2024年11月:雨の日が晴れより +6,258円
  • 2025年10月:逆に晴れの日が雨より +15,423円

月によって雨の効果は真逆になることがあります。5月の雨はゴールデンウィーク明けの需要と重なりやすく、10月の雨は秋晴れの行楽需要を奪う——といった季節固有の要因が背景にある可能性があります。ただし月あたりのサンプル数は2〜7乗務と少ないため、あくまで傾向の参考値です。


「雨の質」という視点(次回予告)

今回は「1mm以上=雨」と定義しましたが、同じ雨でも「1日中しとしと降る梅雨」と「夕立・ゲリラ豪雨」ではタクシー需要の爆発力は全く異なるはずです。

時間帯別の降雨データと乗車件数を掛け合わせた分析については、また別の機会に検証してみたいと思います。


まとめ

  • 月別では夏(7〜8月)が強く、6月・3月は弱い傾向
  • 「雨の日は儲かる」は体感レベル。相関係数0.032でほぼ無相関
  • 差は+2,409円あるが、曜日・時間帯・季節の影響の方がはるかに大きい

「今日は雨だから頑張れる」という気持ちの後押しにはなりますが、データ上は「特別儲かる日」ではありませんでした。それよりも**曜日(金曜)と時間帯(深夜)**を意識する方が、売上への影響は大きいことが改めて確認できました。


より手軽に、もっと多くのドライバーへ

今回のように日報データを振り返り、「自分の感覚」と「実際の数字」のズレを埋める作業は、売上アップに直結します。ただ、毎日の乗務の後に手作業でデータを集計するのは正直かなり手間ですよね。

実は現在、こうした**タクシーの乗務データ分析をスマホで簡単にし、効率よく稼ぐためのサポートアプリ「Taxi Labo」**を開発しています。

「雨の日は本当に儲かっているのか?」「自分にとって一番効率の良い曜日とエリアはどこか?」といった分析が、日々のデータを蓄積するだけでパッと視覚化できるツールを目指して鋭意制作中です。

開発の裏側や進捗もこのブログで随時発信していきますので、興味を持っていただけたドライバーの方は、ぜひブックマークをお願いします!

なぜ自分でアプリを作ろうと思ったのか、その経緯はこちら


使用データ: 個人の運転日報PDF(OCR抽出)/ 天気データ: 気象庁(東京・日別降水量)/ 分析ツール: Python(pandas・matplotlib)