前回の「曜日と時間帯の売上パターン」に続き、今回は2つのテーマを検証します。

  1. 月によって売上は変わるのか
  2. 「雨の日はタクシーが儲かる」は本当か

データは前回と同じ239乗務(2024年6月〜2026年2月)。天気データは気象庁の東京の日別降水量を使いました。


月別の平均売上

月別平均売上グラフ

集計基準について:うちの会社の締め日は毎月15日(12乗務が基本)。カレンダー月ではなく「前月16日〜当月15日」を1ヶ月として集計しています。例:2024年7月=2024/6/16〜7/15。2月など締め日が14日・16日になる月もあります。

平均売上乗務数
2024年6月60,778円6
2024年7月77,269円12
2024年8月83,302円12
2024年9月83,308円11
2024年10月75,914円12
2024年11月78,056円12
2024年12月78,500円11
2025年1月73,894円10
2025年2月84,480円12
2025年3月68,388円12
2025年4月79,525円12
2025年5月85,633円12
2025年6月78,714円12
2025年7月90,533円12
2025年8月90,775円11
2025年9月91,157円12
2025年10月83,674円12
2025年11月71,227円11
2025年12月85,522円12
2026年1月81,209円11
2026年2月86,712円10

全期間平均は約80,894円。最高は2025年9月の91,157円、最低は2024年6月の60,778円でした。


見えてきたパターン

夏〜秋(7〜9月)が最強期

2024年・2025年ともに7〜9月が高水準。特に2025年9月が全期間最高の91,157円を記録しました。2025年8月も90,775円と僅差で、夏から秋にかけてが稼ぎどきであることが数字でも確認できます。

6月と3月は低め

  • 2024年6月:60,778円(ただし乗務数6回と少ない。データ収集開始月のため参考値)
  • 2025年3月:68,388円

3月については「年度末の特需があるのでは」という体感がありましたが、数字はむしろ低め。年度末に動くのは法人需要が多く、個人タクシーには恩恵が少ないのかもしれません。

2025年11月が意外な落ち込み

71,227円と前後の月より10,000円以上落ち込んでいます。天候や特殊要因の影響も考えられますが、今後データが積み上がれば傾向がより明確になるでしょう。


「雨の日はタクシーが儲かる」は本当か

業界の「常識」として語られがちなこの話、実際のデータで検証しました。

雨の定義:当日の降水量 1mm以上

雨の日 vs 晴れの日 比較グラフ

天気乗務数平均売上
晴れ・曇り(0mm)183乗務80,335円
雨の日(1mm以上)56乗務82,744円

差は +2,409円。雨の日の方がわずかに高い結果です。

ただし…


相関係数は0.032。ほぼ無相関

降水量と売上の散布図

散布図を見ると、点はバラバラに散らばっており、雨の量が増えるほど売上が上がるという傾向は見られません。回帰直線はほぼ水平、**相関係数は0.032(ほぼ0)**です。

「雨の日は儲かる」は、あくまで体感レベルの話。少なくとも私のデータでは、雨が売上を有意に押し上げるとは言えませんでした。


なぜ体感と違うのか

考えられる理由を整理すると:

1. 雨の日は需要も増えるが、待機時間も伸びる

雨だと客単価は上がりそうですが、渋滞で回転率が下がります。「1件の単価は高いが、乗務中の件数は少ない」というトレードオフが打ち消し合っている可能性があります。

2. GOアプリで需要は均等化されている

今はGOアプリが需要を効率よく捌くため、晴れでも雨でも「乗りたい人が乗れる状態」が維持されます。昔ながらの流しのイメージで「雨=儲かる」を語るのは、時代遅れになってきているのかもしれません。

3. サンプル数の問題

56乗務の雨の日データは、統計的有意差を出すには少し少ない。今後データが積み上がるにつれて傾向がより明確になるかもしれません。


月によってまったく違う「雨の効果」

全体で見るとほぼ無相関でも、月ごとに分解すると面白い差が出てきます。

月別・雨の日 vs 晴れの日の平均売上比較

棒グラフのうち▲マークが雨の日が上回った月です。特に目立つのが:

  • 2025年5月:雨の日が晴れより +18,787円(雨6乗務)
  • 2024年11月:雨の日が晴れより +6,258円
  • 2025年10月:逆に晴れの日が雨より +15,423円

月によって雨の効果は真逆になることがあります。5月の雨はゴールデンウィーク明けの需要と重なりやすく、10月の雨は秋晴れの行楽需要を奪う——といった季節固有の要因が背景にある可能性があります。ただし月あたりのサンプル数は2〜7乗務と少ないため、あくまで傾向の参考値です。


「雨の質」という視点(次回予告)

今回は「1mm以上=雨」と定義しましたが、同じ雨でも「1日中しとしと降る梅雨」と「夕立・ゲリラ豪雨」ではタクシー需要の爆発力は全く異なるはずです。

時間帯別の降雨データと乗車件数を掛け合わせた分析については、また別の機会に検証してみたいと思います。


まとめ

  • 月別では夏(7〜8月)が強く、6月・3月は弱い傾向
  • 「雨の日は儲かる」は体感レベル。相関係数0.032でほぼ無相関
  • 差は+2,409円あるが、曜日・時間帯・季節の影響の方がはるかに大きい

「今日は雨だから頑張れる」という気持ちの後押しにはなりますが、データ上は「特別儲かる日」ではありませんでした。それよりも**曜日(金曜)と時間帯(深夜)**を意識する方が、売上への影響は大きいことが改めて確認できました。


より手軽に、もっと多くのドライバーへ

今回のように日報データを振り返り、「自分の感覚」と「実際の数字」のズレを埋める作業は、売上アップに直結します。ただ、毎日の乗務の後に手作業でデータを集計するのは正直かなり手間ですよね。

実は現在、こうした**タクシーの乗務データ分析をスマホで簡単にし、効率よく稼ぐためのサポートアプリ「Taxi Labo」**を開発しています。

「雨の日は本当に儲かっているのか?」「自分にとって一番効率の良い曜日とエリアはどこか?」といった分析が、日々のデータを蓄積するだけでパッと視覚化できるツールを目指して鋭意制作中です。

開発の裏側や進捗もこのブログで随時発信していきますので、興味を持っていただけたドライバーの方は、ぜひブックマークをお願いします!

なぜ自分でアプリを作ろうと思ったのか、その経緯はこちら


使用データ: 個人の運転日報PDF(OCR抽出)/ 天気データ: 気象庁(東京・日別降水量)/ 分析ツール: Python(pandas・matplotlib)