
「タクシードライバーって実際いくら稼げるの?」
転職を考えている人なら一度は気になる疑問です。求人には「月収60万円可!」と書いてあったりしますが、実態はどうなのか。
この記事では、**東京(特別区・武三交通圏)**で約2年間・238乗務分のリアルな営収データをもとに、タクシードライバーの手取り計算のしくみを具体的に解説します。
⚠️ 営収の水準は地域によって大きく異なります。基準額6〜7万円・平均営収8万円超えは東京(特別区・武三交通圏)ならではの数字です。地方では同じ乗務数でも営収が半分以下になるケースもあるため、自分が働く地域の相場を必ず確認してください。
タクシーの給料のしくみ:歩合制とは
タクシードライバーの給料は、ほとんどの会社が歩合制を採用しています。
シンプルに言うと、
稼いだ分だけもらえる
という仕組みです。固定給ではなく、自分が走って稼いだ売上(営収)をベースに給料が計算されます。

基準額(足切り)とは
歩合制には「基準額」という考え方があります。
- 基準額を超えた分:会社との分配率に応じてドライバーに入る
- 基準額を下回った分:保証給から差し引かれる
基準額は会社によって異なりますが、東京の場合は1乗務あたり6〜7万円前後に設定されているところが多いです。
歩合率(分配率)
営収に対してどれだけドライバーがもらえるかを示す割合です。
| 会社タイプ | 歩合率の目安 |
|---|---|
| 大手・準大手 | 45〜55% |
| 中堅・個人タクシー寄り | 55〜65% |
| 完全歩合(保証なし) | 60〜70% |
実データ:238乗務の営収
2024年6月〜2026年2月、タクシー歴約2年分・238乗務のデータです。ベテランの数字ではなく、入社1〜2年目のリアルな成長の軌跡として参考にしてください。
| 指標 | 金額 |
|---|---|
| 平均営収 | 85,263円 |
| 中央値 | 85,305円 |
| 最高営収 | 124,210円 |
| 最低営収 | 7,200円(体調不良での早退) |
平均と中央値がほぼ一致しているのは、体調不良や故障対応などの特殊な日が少なく、データが安定していることを示しています。通常乗務の実態は85,000円前後と考えていただくのが正確です。
実際の手取り計算例

では、この営収データをもとに月収を試算してみます。
前提条件
- 勤務形態:隔日勤務(1日乗務・1日休み)
- 月の乗務回数:12〜13回
- 歩合率:50%(多くの会社の標準的な水準)
- 基準額:65,000円/乗務
ケース1:平均的な月(12乗務・営収85,000円)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 月間営収 | 85,000円 × 12回 | 1,020,000円 |
| 基準額合計 | 65,000円 × 12回 | 780,000円 |
| 超過分 | 1,020,000 − 780,000 | 240,000円 |
| 超過歩合 | 240,000 × 50% | 120,000円 |
| 基準内歩合 | 780,000 × 50% | 390,000円 |
| 月収(税込) | 約510,000円 |
社会保険・所得税を引いた手取りは40〜44万円前後が目安です。
ケース2:好調な月(13乗務・営収90,000円)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 月間営収 | 90,000円 × 13回 | 1,170,000円 |
| 超過分 | 1,170,000 − 845,000 | 325,000円 |
| 月収(税込) | 約585,000円 |
手取りは48〜52万円前後。稼げる月はしっかり稼げる。
ケース3:月収100万円を目指すには
| 目標月収 | 必要な月間営収 | 1乗務あたり営収 |
|---|---|---|
| 60万円 | 約120万円 | 92,000円(13乗務) |
| 80万円 | 約160万円 | 123,000円(13乗務) |
| 100万円 | 約200万円 | 計算上は困難 |
月収100万円は完全歩合の会社か、非常に高い歩合率の会社でないと難しいのが実態です。求人に「月収100万可」とあっても、それは特定の月の上振れか、歩合率が高い完全歩合制の場合が多いです。
「実際に稼げる人」の特徴

データを分析してわかったことですが、稼げるドライバーと稼げないドライバーには明確な差があります。
稼げる人の共通点
- 金曜・木曜を意識して働く(データで金曜の平均営収が96,000円超と最も高く、木曜も87,000円台)
- 深夜の流しの行動パターンを持っている
- 休憩の取り方が合理的(データでも休憩前後の稼働効率が安定している)
稼ぎにくい人の特徴
- 水曜・月曜ばかりで働く(平均営収が80,000円台と低水準)
- 待機場所のパターンがない
- 体感で動いてデータを見ない
まとめ
- タクシーの手取りは営収 × 歩合率 − 各種控除で計算される
- 隔日勤務で真面目に働けば月40〜45万円の手取りは現実的
- 月収60万超えは好調な月・好調な曜日が重なったとき
- 「稼げる月」と「稼げない月」の差が大きいのがタクシーの特性
転職を考えている方は「平均営収」と「歩合率」と「基準額」の3つを必ず会社に確認してください。この3つがわかれば、自分の期待月収をある程度計算できます。
次回は「タクシー会社の選び方」について書く予定です。歩合率・基準額・研修制度など、入社前に必ず確認すべきポイントをまとめます。
ちなみに、この記事で紹介したようなデータ分析を「乗務中にスマホでサクッと記録・自動集計」できるアプリ Taxi Meter を現在開発中です。紙の日報をOCRでデータ化するところから始まり、自分が本当に使えるツールを作っています。興味のある方はこちらの記事もどうぞ。
使用データ: 個人の運転日報PDF(OCR抽出・238乗務) / 東京都内・隔日勤務